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ビートたけしのTVタックル】カスハラの原因はクレーマーではない【カスタマーハラスメント特集

 

 

『カスハラ』がTVで取り上げられたけど…

 

出典:テレビ朝日

 

先日、テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』で

カスハラ(カスタマー・ハラスメント)特集を見ました。

「見た」とはいっても冒頭10分くらいしか見なかったのですが…。

 

どうして?
内容があまりにもリアルでヒドすぎて…気分が悪くなったから。

 

番組では「実際にあった」悪質クレームやモンスター客の事例が、

途中で見るのイヤになるくらい濃厚に再現されていました。

 

出典:テレビ朝日

 

例えば個人経営の飲食店の事例。

熱いお味噌汁に「お前が飲め、ブタ!」と店員を罵倒するシーン。

 

ヒドイ…。そんなこと言う人がいるの?
ボクは俳優さんの演技がリアルすぎて「本当に演技か?」と疑ったよ(笑)。

 

TVタックルのカスハラ再現VTRを見て、あまりの再現ぶりに、気分が悪くなった人がそこそこいた模様、

 

・再現VTR見てるだけで胸くそ悪くなる

・クレームの内容があまりにも幼稚化・自己中すぎる

・本当に接客業のアルバイトやっててこういう事あったから思い出しただけで腹立つ

 

などなど。

再現性が高いVTRを不快に感じた視聴者も多数いた模様…。

 

かくいうボクもかつて某ファミレス酔っぱらった客にガラスへ突き飛ばされるという”暴行”を経験してるので他人事とは思えなかった。

 

 

ただ。

途中まで見た番組の雰囲気や全体像をネットの情報から推測する限り、

かなりモヤモヤしているんですよね。

 

 

「なぜカスハラの原因に言及しないのか?」

 

この番組で終始取り上げられていたのは

悪質クレーマーの事例と「従業員はどう対応すべきか」ばかり…。

カスハラ問題の元凶である”企業”にまったく言及していません。

 

 

クレーマーは原因ではない

 

え?カスハラ問題の原因はどう考えてもクレーマーでしょう。
だってクレーマーがいなければカスハラ問題は起こらないじゃない。
クレーマーはカスハラ問題の“要因”ではあっても”原因”ではない。
クレーマーと云う要因を企業が助長するからカスハラという問題になるのだとボクは考える。

 

クレーマーはどこまでいっても「クレームを言う人」です。

 

出典:テレビ朝日

 

入店してきたお客にコンビニ店員が笑顔で接客したところ、

お客が突然「オレの顔を見て笑っただろ」と怒り出した…。

『TVタックル』の再現VTRにこんなシチュエーションがありました。

 

TVでチンピラがインネンをつけるかのようなシーンですが、

これがクレーマーの思考。

何がクレームのキッカケになるかわからず防ぎようがありません。

 

何よりクレーマーは「自分が正しく相手が間違っている」と思っています。

自分の非を自覚している人間なら言動を改めさせることができても、

悪意なく自分が正しいと思っている人間を変えるのは不可能です。

 

しかし周りから見れば「間違っている」と判断する行為を、

本人に「間違っている」と自覚させるにはどうすればいいか?

 

話は簡単で「それは間違っている」と本人に伝えることです。

クレーマーの主張は基本的に自己中心的で荒唐無稽。

『TVタックル』の事例を見てもアレを「正しい」と思う視聴者は皆無でしょう。

 

従業員は自衛手段がない

 

番組では「クレーム対応の専門家」を名乗る女性が、「私ならこうする」とドヤ顔でクレーム処理の方法を語っていたけど…。
それを聞いて「この人はカスハラの問題を何もわかっていない」と思った。

 

アルバイトは雇用契約で縛られています。

彼女のように「自分の行為の責任を自身で取れる」立場ではないのです。

 

アルバイトは自分の行為が何か会社に損害をもたらしたとき、

その損害を被らなくてはならないリスクを負っています。

 

「もしこのクレームに反発して大事になったら…?」

そう思った瞬間に体がすくんで頭がマトモに働かなくなってしまうのです。

 

しかも。

クレームに対して「非が無くてもまず謝れ」と従業員に教育する企業は多いです。

少なくともボクがアルバイトをした企業はどこもそうでした。

 

先の専門家は「こちらに非が無い場合は謝らない」と言っていましたが、

現実問題アルバイトは相手に非があっても謝らなければいけない立場に置かれているのです。

 

 

カスハラ問題の元凶は企業の姿勢である

 

交渉事において「謝った」は「非を認めた」のと同じことだ。

 

従業員が謝ることでクレーマーは「自分が正しい」とますます増長します。

「とりあえず謝る」という企業の対応がカスハラ問題を助長しているのです。

 

 

従業員を守らないことこそが問題

 

カスハラ問題で思い出すのが『しまむら土下座強要事件』だね。

 

『しまむら土下座強要事件』とは洋品店しまむら苗穂店で発生した事件です。

女性客が「タオルケットに穴が開いていた」と文句をつけた挙句、

店員2人に土下座を強要した挙句その写真をSNS上にアップしました。

 

結果、その女性は強要罪で逮捕されましたが、

逮捕に至ったのは店員本人の被害届とSNSにアップされた情報から本人が特定されたことでした。

 

つまり…従業員を守るべき立場にある『しまむら』はなんらアクションを起こさなかった、ってことね。

 

 

基本的な考え方

当社は、お客様、お取引先、株主に対して、また、従業員に対して公正、公平に対応することを事業の基本的な信用と考えています。

引用:しまむらHP

 

コーポレートガバナンスにこう掲げておきながら、しまむらは従業員の犯罪被害を黙認していたわけだ。「公正、公平に対応」が聞いて呆れる。

 

 

従業員を人間扱いしない司法

 

更にいえばカスハラ問題の元凶は企業に留まらない。

 

コンビニ店員にセクハラ行為を続けた市職員を増長させた、「事なかれ主義』

 

クレーマーとは少し話題がズレますが、

加古川市の職員がコンビニの女性従業員に度重なるわいせつ行為をしていた事例があります。

 

度重なるセクハラ行為に対してコンビニは市に”匿名で”苦情を送ります。

もし「従業員を守る」意識があればこのような対応は取らないでしょう。

 

それに対して加古川市は何のアクションも起こさず、

地元紙に報じられてようやく該当職員を懲戒処分するに至りました。

 

新聞社が報じなかったらうやむやにするつもりだったのね…。
ところがこの事件はここでは終わらない。解雇された元職員が「処分が重すぎる」と市を訴えた。
なにそれ!?盗人猛々しいにもほどがあるわ!!
訴えを起こした男性の神経を疑うけど…輪をかけて理解できないのが第一審神戸地裁・第二審大阪高裁の判断だ。

 

「女性従業員は明確な拒絶の意思を示さなかった。

これはわいせつ行為を受け入れていた、と見做す」。

 

解雇の原因となったわいせつ行為について、

地裁・高裁ともにこのような判断を下したのです。

 

要は「笑顔で対応したからセクハラは存在しない」と司法が判断した、っていうことだ。
十年前ならいざ知らず…「#Me Too」を始めセクハラが世界的な問題になっている最近の出来事だからね。正直、司法のこの判断は正気を疑うレベルだ。
最高裁で覆ったのが唯一の救いね…。でも、それで被害女性のキズが癒えるワケではないし…。

 

司法レベルでこれか、と。

客からの悪質行為を従業員が拒絶するのがどれほど困難か、

いかほどにも理解されていないことがわかる事例です。

 

そしてこの風土を育んでいるのは間違いなく企業です。

 

「お客が上、従業員は下」。

いざとなったら従業員を切り捨てる。

こういった企業の姿勢がカスハラを助長しているのは言うまでもないでしょう。

 

 

「とりあえず謝る」という自滅的戦略

 

そもそもクレーマー相手に下手に出る企業は「自滅への道」を歩んでいる、としか言えない。

 

なぜなら下手に出れば出るほどクレーマーは増長します。

従業員はクレームへの対応に追われて疲弊しますし、

業務が滞れば大多数の善良なお客様が迷惑します。

 

客とも呼べない悪質なクレーマーほど丁重に扱い、

善良なお客様ほどぞんざいに扱われる店にまた行きたいと思うでしょうか?

「とりあえず謝る」は売上を自ら減らす愚行だと言わざるを得ません。

 

おまけに。

イヤな思いをした従業員はその後絶対にそのお店には行かないでしょう。

従業員を粗末に扱うことで潜在的な顧客を逃してもいるのです。

 

かくいうボクもアルバイトで暴行を受けた後の、店側の対応を見て辞める決意をしたし「この店には二度と来ない」と誓った。
…どんな対応だったの?

 

事態を聞いて駆け付けた店長の第一声が「警察には言うな」。

次に出たのは「働いているとツライこともある、ガマンしろ」だった。

 

このときは学生だったけど「アルバイトは暴行が『ツライこと』で済まされる存在なんだ」と驚いたね。
それからすぐに辞めてからは店にも行かなければ、その店の話が出たら体験談とともに「最悪の店だよ」と伝えるようにしている。

アルバイトを敵に回すのは潜在顧客を切り捨てる行為だ、と企業はもっと自覚すべきだと思うんだけどな…。
それはそうよね…。自分をぞんざいに扱ったお店を褒めたりしたくないもの…。

 

 

カスハラ問題を減らすには

 

カスハラ問題への対策はたった一つ。

企業がクレーマーに毅然と対応するしかありません。

クレーマーの来店自体は防ぎようがないのですから。

 

  • 店内に監視カメラを設置する
  • 証拠用の録音機材を従業員に持たせる
  • 悪質クレームの実例や対応マニュアルを作成する

 

などなど。

コストをかけてでもカスハラ撲滅に動き出すべきです。

 

そもそも、社会問題になっているカスハラへの対応を従業員任せにして知らぬ存ぜぬを通す企業は感性がおかしいと思う。
業務前に従業員へ社訓や企業理念を暗唱させるヒマがあるなら、その時間でクレーム対応のロールプレイングでもやらせた方が何倍も有益じゃないかな。

 

何より企業が「従業員を守る」と従業員に向けて宣言すること。

もちろん口だけではなく雇用契約書にその旨を記載すること。

企業理念やコーポレートガバナンスに記載するだけでは何の意味もありません。

 

そしていざクレーマーが訪れても「とりあえず謝る」をさせない。

マニュアルを用意してクレーム対策をしていれば多少は対応できるはず。

そして監視カメラや録音といった証拠があれば訴訟になっても争えます。

 

 

「従業員を守る」は企業価値である

 

近年ファミレスやコンビニでは人手不足が深刻だと言われますが…。

仕事がキツイ上に賃金が対して高いわけでもなく、

なにより「いざというとき守ってもらえない」となれば当然ですよね。

 

かくいうボクもファミレスの一件があってからは「アルバイトすることがあっても飲食店は絶対にイヤだ」と思うようになったし。

 

飲食店や小売店はカスハラに遭遇するリスクが高い業種です。

そんな中。

1社でも「ウチは従業員を守ります」と宣言したらどうでしょうか。

 

 

「本部に言うぞ」

「SNSにアップするぞ」

 

このようなクレーマーの言に対して

「どうぞご自由に。こちらも厳正に対処させていただきます」。

 

企業ホームページに事態の詳細(録画・録音)を載せるとともに、

「従業員を著しく傷つける行為であり、我が社としては到底容認できない」

と徹底的に争う姿勢を見せつける。

 

ここまでやったらどうでしょうか。

「カスハラという社会問題に立ち向かう企業」に見えるはずです。

「このお店で働きたい」と応募してくる人も増えるのではないでしょうか。

 

 

日本が韓国に追いつく日はいつ?

 

でも…不景気で苦しいのに、そんなリスクを企業が負うのは難しいんじゃないかしら?
難しいかもしれないが不可能じゃない。現に韓国企業の『Snowfox』のように悪質クレーマーに毅然と対応することを宣言して支持を得ている事例は存在する。

 

「従業員に無礼な行動をするお客様は拒否します」ある店が掲げたポリシーの真意

 

商品の代価は、同等な交換です。当社の職員たちは、お客様へ感謝の心を込めてサービスを提供いたします。しかし、無礼なお客様に対してまで、そう応対するようにとは教育いたしません。

 

職員たちは、いつ、どこでどんな仕事に勤めようが、いつも尊重されるべき立派な若者たちであり、誰かにとっての大切な子供であるためです。

 

職員が人格的な侮辱を感じるような、言語や行動。大声で叫んだり、子供たちを放置したりすることで、他のお客様に迷惑をかける行動をとった場合、私たちは丁重にサービスを拒否することができることをお知らせします。

 

代表 キム・スンホより

引用:grape

 

「客は王である」との意識が根強い韓国でもカスハラは問題になっています。

そんななか『Snowfox』韓国支店に掲げられているこの案内文は、

韓国のネットを通じて多くの「お客」から支持され称賛を受けています。

 

日本でも厚労省がカスハラ対策に動き始めたけど…まだ報告書を上げた段階(2019年2月現在)で実現するのはまだまだ先になりそうだし

それに、結局のところ企業が大きく動かない限り解決には向かわないと思うんだけどなぁ…。
企業が自主的にカスハラ撲滅に動き出す日はいつ来るかしらね…。